こんにちは。兵庫県宝塚市にある医療法人社団 宝塚ライフ歯科・矯正歯科です。
部分入れ歯は、失った前歯の見た目と機能を回復させることができる方法の一つです。
しかし、部分入れ歯には、慣れるまでに時間がかかることや永久に使えるわけではないことなど、注意すべき点もあります。そのため、メリットとデメリットの両方をよく理解したうえで、使用することが重要です。
本記事では、前歯の部分入れ歯に関するメリット・デメリットや種類、費用について詳しく解説します。前歯を部分入れ歯にするときの注意点もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
前歯を部分入れ歯にできる？
前歯を失ったとき、「部分入れ歯で本当にきれいに治せるのか」「どこまで噛めるようになるのか」と不安に感じる方は多くいらっしゃいます。ここでは、前歯を部分入れ歯で補うことができるのか、その基本から整理します。
前歯は部分入れ歯にできる？
前歯を1本だけ失った場合でも、複数本失った場合でも、部分入れ歯で補うことは可能です。欠損している部分に人工の歯を並べ、残っている歯に引っかけて固定することで、見た目と噛む機能の両方を回復していきます。
前歯は笑ったときや会話のときに最も目立つ場所です。そのため、単に「噛めればよい」というだけでなく、「入れ歯だと気づかれにくいか」「自然な口元に見えるか」といった審美性も重要になります。
保険診療と自費診療の部分入れ歯がある
部分入れ歯には、健康保険が適用されるものと、自費診療（保険適用外）のものがあります。保険診療で作る部分入れ歯は、レジンと呼ばれるプラスチックや金属の留め具など、使用できる素材が決められており、基本的な機能は満たせますが、見た目や装着感にはどうしても限界があります。
一方、自費診療の部分入れ歯では、金属を極力見せない素材や、薄くて違和感の少ない素材など、選べるバリエーションが豊富です。前歯の見た目を重視したい方や、できるだけ快適に使いたい方には、自費診療の入れ歯の方が選択肢を広げやすいと言えます。
前歯を失う主な原因と放置するリスク
前歯を部分入れ歯にするかどうかを考える前に、「なぜ前歯を失ってしまったのか」「そのまま放置するとどうなるのか」を知っておくことが重要です。原因とリスクを理解することで、今後の治療選択や予防にも役立ちます。
前歯を失う代表的な原因
前歯を失う代表的な原因は以下の通りです。
重度の虫歯
虫歯が歯の神経や根の先まで進行すると、歯を残すことが難しくなり、抜歯が必要になることがあります。特に、過去に大きな虫歯治療を受けている前歯は、時間の経過とともに歯の根が割れたり、根の先に膿がたまったりして、抜歯に至るケースがあります。
歯周病の進行
歯周病は、日本人が歯を失う原因として最も多い病気です。歯を支えている骨や歯ぐきが少しずつ溶けていくため、進行すると前歯がグラグラしてきて、最終的には自然に抜け落ちたり、抜歯が必要になったりします。
外傷や事故
転倒やスポーツ中の衝突、交通事故などで前歯を強く打つと、歯が折れたり、根ごと抜けてしまうことがあります。外傷の場合は、見た目の変化が急で、心理的なショックも大きくなりがちです。
前歯を失ったまま放置するリスク
前歯を失ったまま放置するリスクは以下の通りです。
噛み合わせと歯並びの乱れ
前歯を失った部分をそのままにしておくと、隣の歯が空いたスペースに倒れ込んできたり、噛み合っていた反対側の歯が伸びてきたりします。時間とともに歯並びや噛み合わせが乱れ、見た目だけでなく、他の歯にも負担がかかるようになります。
顎の関節や全身への影響
前歯がない状態では、奥歯ばかりで噛む癖がつきやすくなります。片側ばかりで噛む習慣が続くと、顎の関節に負担がかかり、顎関節症や頭痛、肩こりなどにつながることもあります。
骨や歯ぐきが痩せる
歯を失った部分は、噛む刺激が骨に伝わらなくなるため、時間の経過とともに顎の骨が痩せていきます。骨や歯ぐきが下がると、将来的にインプラントやブリッジなど、他の治療法を選びにくくなる場合もあります。
前歯を失ったときは、「見た目が気になるから」という理由だけでなく、こうしたリスクを防ぐためにも、できるだけ早めに歯科医院で治療の相談をすることが大切です。
前歯を失ったときの治療法の選択肢
前歯を失った場合、「入れ歯」以外にもいくつかの治療法があります。それぞれの特徴を知っておくと、部分入れ歯を選ぶべきかどうかを判断しやすくなります。
部分入れ歯
残っている歯に金属の留め具などをかけて固定し、失った部分に人工の歯を並べる方法です。健康な歯を大きく削らずに済み、保険診療でも作製できるため、費用を抑えやすい点が特徴です。
一方で、取り外し式であることや、噛む力が他の方法より弱くなりやすい点には注意が必要です。
ブリッジ
失った歯の両隣の歯を土台として削り、連結したかぶせ物で橋のように補う方法です。固定式のため、装着後の違和感が少なく、噛み心地も比較的自然に近いというメリットがあります。
ただし、健康な歯を削る必要があり、土台の歯に負担がかかる点がデメリットです。
インプラント
顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯を装着する方法です。隣の歯を削らずに済み、しっかり噛めることが大きな利点です。
一方で、外科手術が必要で治療期間が長くなり、費用も高額になりやすいという特徴があります。
前歯を部分入れ歯にするメリット・デメリット
前歯を部分入れ歯にするかどうかを決める際には、良い面と注意すべき点の両方を理解しておくことが欠かせません。この章では、前歯の部分入れ歯のメリットとデメリットを整理します。
前歯を部分入れ歯にするメリット
前歯を部分入れ歯にするメリットは、以下の通りです。
見た目（審美性）を回復しやすい
前歯は、笑ったときや会話のときに最も目立つ歯です。部分入れ歯を装着することで、失った前歯の見た目を早期に回復し、人前でも自信を持って話したり笑ったりしやすくなります。
保険診療の部分入れ歯でも、歯の形や色を周囲の歯に合わせて作ることは可能です。さらに、自費診療の部分入れ歯であれば、金属の留め具を見えにくくしたり、より自然な色調や透明感を再現したりすることができ、より自然な口元を目指しやすくなります。
費用を抑えながら歯を補える
部分入れ歯は、前歯を補う治療法の中でも、比較的費用を抑えやすい方法です。健康保険が適用されるため、自費診療のみのインプラントなどと比べると、自己負担額を低く抑えられます。
「まずは費用を抑えて前歯を補いたい」「将来的に他の治療法も検討したい」という方にとって、部分入れ歯は選択しやすい治療法と言えます。
取り外しができ、清掃しやすい
部分入れ歯はご自身で簡単に取り外しができます。毎日外して洗浄できるため、入れ歯自体を清潔に保ちやすく、残っている歯や歯ぐきのケアもしやすくなります。
ブリッジのように固定されている装置と比べると、細かい部分まで磨きやすく、口腔内を清潔に保ちやすい点は大きな利点です。適切にお手入れを続けることで、残存歯の健康維持にもつながります。
比較的短期間で治療が完了しやすい
部分入れ歯は、型取りから装着までの期間が比較的短く済むことが多い治療法です。インプラントのような外科手術や骨との結合期間が必要ないため、「前歯がない期間をできるだけ短くしたい」という方にも向いています。
特に前歯は見た目の影響が大きいため、早く歯を補えることは、日常生活やお仕事への影響を減らすうえでも大きなメリットです。
前歯を部分入れ歯にするデメリット
前歯を部分入れ歯にするデメリットは、以下の通りです。
噛む力が他の治療法より弱くなりやすい
部分入れ歯は、残っている歯や歯ぐきに支えられて噛む力を発揮しますが、ブリッジやインプラントと比べると、どうしても噛む力は弱くなりやすい傾向があります。そのため、硬い食べ物を噛み切るのが難しい場合があります。
特に保険診療の部分入れ歯は、素材や設計の制約から安定性が十分でないこともあり、食事中に入れ歯が少し動いたり、外れそうに感じることがあるかもしれません。
金属の留め具が目立つ場合がある
保険適用の部分入れ歯では、残っている歯に金属製の留め具（クラスプ）をかけて固定するのが一般的です。前歯に使用する場合、この金属部分が笑ったときなどに見えてしまい、審美性が損なわれることがあります。
見た目を重視したい方には、金属の留め具を使わないノンクラスプ義歯など、自費診療の選択肢が向いている場合もあります。
装着時の違和感や痛みが出ることがある
部分入れ歯は、お口の中に新たな人工物を入れる治療です。そのため、装着直後は「厚みを感じる」「話しにくい」「舌が当たる」などの違和感を覚える方が少なくありません。特に初めて入れ歯を使う方は、慣れるまでに時間がかかることがあります。
また、入れ歯の一部が歯ぐきや粘膜に強く当たっていると、痛みや傷の原因になることもあります。その場合は我慢せず、歯科医院で調整を受けることで、多くは改善が期待できます。
定期的な調整とメンテナンスが必要
部分入れ歯は、一度作れば一生そのまま使えるわけではありません。年齢とともに顎の骨や歯ぐきの形が変化したり、噛み合わせが変わったりするため、入れ歯が少しずつ合わなくなっていきます。
そのまま使い続けると、痛みや外れやすさ、残っている歯への負担増加などの原因になります。快適に使い続けるためには、定期的に歯科医院で入れ歯とお口の状態をチェックし、必要に応じて調整や修理を行うことが大切です。
前歯の部分入れ歯の種類
前歯の部分入れ歯には、保険診療で作るものから自費診療のものまで、いくつかの種類があります。それぞれの特徴を知ることで、ご自身に合った入れ歯を選びやすくなります。
保険適用の代表的な部分入れ歯
保険適用の代表的なレジン床義歯については以下の通りです。
レジン床義歯
レジン床義歯は、歯科用プラスチック（レジン）で土台部分を作る、もっとも一般的な保険適用の部分入れ歯です。保険が適用されるため、費用を抑えながら前歯を補える点が大きな特徴です。
レジンは修理や調整がしやすく、破損した場合でも比較的対応しやすい素材です。一方で、素材の性質上、ある程度の厚みが必要になるため、装着時に「厚ぼったさ」を感じる方もいます。また、経年劣化しやすく、長期的な耐久性は自費診療の入れ歯に比べると劣る傾向があります。
保険のルール上、金属製の留め具を使って残っている歯に引っかけて固定するため、前歯に使用すると金属部分が見えてしまうことがあります。見た目よりも費用を優先したい方に向いている入れ歯です。
自費診療で選べる部分入れ歯
自費診療の部分入れ歯は以下の通りです。
ノンクラスプ義歯
ノンクラスプ義歯は、金属の留め具（クラスプ）を使わずに装着できる部分入れ歯です。歯ぐきに近い色の特殊な樹脂で土台部分を作り、その弾力を利用して歯にしっかりフィットさせます。
金属が見えないため、見た目が自然で、入れ歯だと気づかれにくいのが大きな魅力です。また、軽くてフィット感が高く、装着時の違和感が少ないと感じる方も多くいらっしゃいます。
一方で、特殊な樹脂を使用しているため、破損した際の修理や大きな調整が難しい場合があります。適応できる症例が限られることもあるため、事前に歯科医師とよく相談することが大切です。
シリコン義歯
シリコン義歯は、歯ぐきに触れる内側の部分に柔らかいシリコンを使用した入れ歯です。シリコンがクッションの役割を果たし、噛んだときの圧力をやわらげるため、歯ぐきが痛くなりやすい方や、入れ歯の食い込みが気になる方に向いています。
フィット感が高く、外れにくいという利点もありますが、柔らかい素材であるがゆえに汚れが付きやすく、経年劣化もしやすい点がデメリットです。清掃やメンテナンスを丁寧に行う必要があります。
金属床義歯
金属床義歯は、土台部分の一部または大部分を金属で作る入れ歯です。チタンやコバルトクロムなどの金属を用いることで、強度を保ちながら薄く仕上げることができます。
薄く作れるため、装着時の違和感が少なく、発音や舌の動きへの影響も抑えやすいのが特徴です。
また、金属は熱を伝えやすいため、食べ物や飲み物の温度を感じやすく、食事の楽しみを損ないにくいという利点もあります。
一方で、金属アレルギーのある方には適さない場合があります。使用する金属の種類やアレルギーの有無については、事前に歯科医師とよく相談することが重要です。
前歯の部分入れ歯の選び方のポイント
同じ「前歯の部分入れ歯」でも、種類や素材によって見た目や使い心地は大きく変わります。ここでは、前歯の部分入れ歯を選ぶときに特に重視したいポイントを整理します。
見た目が自然で気づかれにくいか
前歯は人から最も見られる部分のため、「入れ歯だと分からないかどうか」を重視される方が多くいらっしゃいます。保険診療のレジン床義歯では、金属の留め具が見えやすいことがありますが、自費診療のノンクラスプ義歯などを選ぶことで、金属を見せずに装着できる場合があります。
職業柄人前に出る機会が多い方や、対面での接客・営業が多い方などは、見た目の自然さを優先して素材を選ぶことも一つの考え方です。
発音や会話のしやすさ
前歯は、サ行やタ行などの発音に大きく関わる歯です。入れ歯の厚みや形によっては、舌の動きが制限され、「話しにくい」「息が漏れる」と感じることがあります。
薄く作れる金属床義歯や、設計を工夫したノンクラスプ義歯などは、発音への影響を抑えやすい場合があります。日常的に人と話す機会が多い方は、「実際に装着したときの発音のしやすさ」も重視して選ぶと良いでしょう。
食事のしやすさと安定感
前歯は食べ物を噛み切る役割を担っています。入れ歯がしっかりフィットしていないと、食事中に動いたり外れそうになったりして、食べにくさや不安を感じることがあります。
設計や素材によって、入れ歯の安定感は変わります。噛む力をどこまで求めるか、どの程度の硬さの食べ物を食べたいかなど、ご自身の希望を歯科医師に伝えたうえで、最適な種類を一緒に検討することが大切です。
前歯を部分入れ歯にするときの費用
前歯を部分入れ歯で補う場合、保険診療か自費診療かによって費用は大きく変わります。ここでは、おおよその費用の目安と、それぞれの特徴を解説します。
保険診療で前歯の部分入れ歯を作る場合
健康保険を利用して部分入れ歯を作る場合、自己負担が3割の方であれば、片顎あたりおよそ3,500円から8,000円程度が一つの目安です。使用する素材や失っている歯の本数によって前後しますが、同じ条件であれば全国どこでもほぼ同じ金額で治療を受けられる点が特徴です。
保険診療の部分入れ歯は、費用負担を抑えながら、前歯の見た目と噛む機能を回復できる方法です。
ただし、使用できる素材がレジンや金属の留め具などに限られているため、見た目の自然さや装着時の薄さ・軽さにはどうしても制約があります。
自費診療で前歯の部分入れ歯を作る場合
自費診療で作る部分入れ歯は、選ぶ種類や設計、歯科医院ごとの料金設定によって費用が大きく変わります。一般的な目安としては、片顎あたり15万円から90万円程度まで幅があります。
自費診療では、ノンクラスプ義歯やシリコン義歯、金属床義歯など、見た目やフィット感、薄さなどを重視したさまざまな選択肢から選ぶことができます。
前歯の審美性を重視したい方や、できるだけ違和感の少ない入れ歯を希望される方にとっては、大きなメリットがあります。
一方で、保険診療と比べて初期費用は高額になりやすいため、事前に治療内容と費用について十分な説明を受け、納得したうえで進めることが重要です。
前歯を部分入れ歯にするときの注意点
前歯を部分入れ歯にする際には、事前に知っておきたい注意点がいくつかあります。あらかじめ理解しておくことで、治療後のギャップを減らし、より快適に使い続けることができます。
装着直後は違和感が出やすい
部分入れ歯を初めて装着した直後は、多くの方が「厚みを感じる」「話しにくい」「噛みにくい」といった違和感を覚えます。特に前歯の入れ歯は、舌や唇に触れる部分が変わるため、発音や表情にも影響を感じやすい場所です。
通常は、数日から数週間かけて少しずつ慣れていくことが多いですが、強い痛みや擦れて傷ができる場合は、入れ歯が一部合っていない可能性があります。その際は我慢せず、歯科医院で調整を受けることが大切です。
入れ歯は永久に同じものを使えるわけではない
入れ歯は、一度作れば一生そのまま使えるものではありません。年齢とともに顎の骨や歯ぐきの形が変わったり、残っている歯の状態が変化したりするため、数年単位で少しずつ合わなくなっていきます。
歯ぐきが痩せて入れ歯がゆるくなると、外れやすくなったり、噛んだときに痛みが出たりすることがあります。そのような場合は、入れ歯の裏側に材料を足してフィットさせ直したり、新しく作り直したりする必要が出てきます。
違和感や不具合を感じたときは早めに歯科医院で相談し、定期的なメンテナンスを受けることが、長く快適に使い続けるためのポイントです。
患者様の声
最後に、実際に当院に通院されている患者様の口コミをご紹介します。
前歯の治療を受けた患者様の口コミ
急に前歯の差し歯が抜けてしまい、お盆に初めて来院しました。先生、看護士さん、受付さん、皆さんとても丁寧に説明して頂き、安心して治療していけると思いました。
予約が取れ難くなるのは嫌ですが、お薦めの歯医者さんです。
定期検診に意欲的な患者様の口コミ
建物も綺麗で清潔感があり、個室になっているので、周りを気にすることがないです。歯科衛生士さんも優しくて気さくに話してくださるので、定期検診も苦ではなくいきたくなるようなところやしっかり日々歯を大切にしようと自然に思えるところが素敵だと思います。
まとめ
本記事では、部分入れ歯のメリット・デメリットや種類、費用などについて詳しく解説しました。それぞれのポイントを理解した上で歯科医師とよく相談し、自分に合った治療方法を選びましょう。
また、定期的に歯科医院でメンテナンスを受け、問題があった場合は早期に発見・対処することが、長く快適に使用するためには重要です。
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奥村亮司
