こんにちは。兵庫県宝塚市にある医療法人社団 宝塚ライフ歯科・矯正歯科です。
歯周病は、単なる歯茎の病気だと考えている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、放っておくと、歯を支えている顎の骨にまでダメージが及び、口腔機能を損なう原因となります。
本記事では、歯周病の進行によって歯が不安定になる原因やぐらつくときにしてはいけないこと、治療法などについて解説します。歯茎が腫れて歯がグラグラしてきたという方は、ぜひ参考にしてください。
目次
歯周病とは
歯周病とは、細菌感染によって歯の周りの組織が破壊される病気のことです。細菌の塊であるプラークが歯と歯茎の境目にある歯周ポケットと呼ばれる溝に蓄積することによって引き起こされます。痛みなどの自覚症状が乏しく、気付かないうちに重症化しやすいという特徴もあります。
進行段階
進行段階は、4つに分けられます。以下では、健康な状態と進行段階別の症状についてみていきましょう。
健康な状態
まず、健康な歯茎の色は、コーラルピンクや薄いピンクをしています。また、ハリがあり、触れたときに少し硬いと感じるのが正常な状態です。健康な状態での歯周ポケットの深さは、1〜2mm程度です。
歯肉炎
歯肉炎とは、歯周病の最も初期の段階を指します。歯茎が赤く腫れることやブラッシングのときに出血することがありますが、痛みはないことがほとんどです。この段階では、周囲の組織にはダメージが進んでいません。歯周ポケットの深さは、2〜3mm程度です。
軽度歯周炎
歯肉炎の状態から炎症が進行すると、軽度の歯周炎となります。この段階にまで進行すると、歯茎の腫れや出血などの自覚症状が現れることがあります。歯周ポケットの深さは3〜5mmとなり、顎の骨が溶かされ始めます。なお、この段階でも痛みを感じることはほとんどありません。
中等度歯周炎
さらに炎症が進むと歯周ポケットの深さは4〜6mmとなり、歯茎からの出血だけでなく、膿も出るようになります。この段階では、歯を支える骨の半分程度が破壊されて、歯がぐらつき始めます。また、歯茎が赤黒くなったり、歯茎が下がって歯が長く見えるようになったりします。
重度歯周炎
重度の段階になると歯周ポケットの深さは7mm以上となり、歯を支える骨の大部分が破壊されます。歯がぐらついて食べ物を噛むことが難しくなるでしょう。また、歯茎から膿が出て、強い口臭が発生するようになります。
歯周病が進行すると歯がぐらつくのはどうして?
歯がぐらつくのは、炎症によって歯を支えている顎の骨が溶かされ、歯と顎の骨との間で緩衝材の役割を担う歯根膜と呼ばれる部分が破壊されるためです。本来であれば、顎の骨と歯根膜は密着した状態で安定感が保たれています。
しかし、それらの組織が破壊されてすき間ができると歯がグラグラするようになるのです。なお、動揺度は4つに分類されており、揺れ具合をチェックすることは、歯周病の重症度を判断するうえでも重要です。動揺度の分類は、以下の通りです。
- 0度:生理的動揺(0.2mm以内)
- 1度:前後へのぐらつき(0.2〜1.0mm)
- 2度:前後・左右へのぐらつき(1.0〜2.0mm)
- 3度:前後・左右・上下へのぐらつき(2.0mm以上)
軽度の段階では1度、中等度では2度、重度では3度の揺れが多くみられます。
歯周病以外に考えられる歯がぐらつく原因
歯が不安定になる主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。
外傷によるもの
スポーツでの接触や転倒、事故などによって口元に強い衝撃が加わると、歯の根がダメージを受け、グラグラと揺れることがあります。
歯ぎしりや食いしばり
歯ぎしりや食いしばりなどによって部分的に過剰な負荷がかかると、歯根膜に負担がかかります。その結果、強い力を支えきれなくなり、グラグラと不安定になることがあるのです。
歯根が割れている
重度の虫歯や神経を取り除いた歯では、歯根が割れるリスクが高まります。また、日常的な歯ぎしりや食いしばり、外傷などが原因で割れるケースもあります。歯の根が割れることで歯がぐらつくこともあるのです。
根尖性歯周炎
根尖性歯周炎も、歯がぐらつくようになる原因のひとつです。
根尖性歯周炎とは、歯根の先の歯周組織に炎症が起こっている状態のことを指します。重度の虫歯を放置することによって引き起こされることが多いです。そのまま放置していると、歯がぐらつくだけでなく、歯茎から膿が出たり噛んだときに痛みが出たりするようになります。
加齢に伴う変化
口腔内の状態は、加齢に伴って変化します。加齢によって歯を支えている骨が痩せたり歯茎が退縮したりすると、歯が不安定になることがあります。
歯がぐらつくときにしてはいけないこと
歯がぐらつくときに指や舌で力を加えたくなる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、歯が揺れるのには何らかの原因があります。不用意に力を加えることにより悪化することもありますので、刺激することは避けましょう。歯がぐらついている箇所で硬いものを噛むのも控えるようにしてください。
歯周病によって歯がぐらついているときに行われる治療
ここからは、歯周病によって歯がぐらついているときに行われる治療について解説します。
歯周基本治療
進行段階にかかわらず、まずは歯周基本治療が行われます。歯周基本治療では、専門的なクリーニングによるプラーク・歯石の除去(スケーリング)や、エナメル質の表面を滑らかにしてプラークが付着しにくい状態にするルートプレーニングなどが行われます。
普段から丁寧にブラッシングをしているつもりでも磨き残しが生じることがあります。また、プラークをそのままにしておくと硬い歯石となり、ブラッシングで取り除くことが困難になるのです。
そのため、毎日の丁寧なセルフケアに加え、歯科医院で専門的な治療を受けることが必要となります。これらの治療は1回で終了するわけではなく、複数回に分けて行われることが一般的です。
歯周外科治療
歯周基本治療だけでは改善が見込めない場合には、歯周外科治療へと移ります。歯周外科治療には、フラップ手術と歯周組織再生療法の2つがあります。
フラップ手術
フラップ手術とは、歯茎を直接切開し、汚染物が付着した部分を目視で確認できる状態にしたうえでプラークや歯石を除去する方法のことを指します。歯茎の上からでは確認できないような深い部分に蓄積した汚れを丁寧に除去することで、症状の改善に役立ちます。
歯周組織再生療法
歯周組織再生療法とは、歯周病によって失われた組織に直接アプローチし、回復を促す方法のことです。歯周組織再生療法には、GTR法・リグロス法・エムドゲイン法があります。
GTR法とは、歯茎を切開して特殊なメンブレン(膜)で破壊された部分を覆い、歯周組織の再生を促す方法のことです。本来であれば、骨や歯肉などの組織は、原因菌を除去すれば自然と再生します。
しかし、骨が再生するスピードよりも歯肉が再生するスピードのほうが早いため、骨が十分に再生する前に歯肉が入り込むのです。GTR法では、そのように骨の再生の妨げとなる組織が外部から入り込まないように特殊なメンブレンで覆い、組織を成熟させます。
組織を再生させるためにリグロスやエムドゲインといった薬剤を用いる方法もあります。歯茎を切開して薬剤を塗布することにより、顎の骨や歯肉、歯根膜などの再生を促すことが可能です。
しかし、いずれにしても組織が再生されるまでには数ヵ月~1年程度かかります。また、再生には個人差があり、完全に元も状態に戻るわけではありません。なお、リグロスは保険適用内で治療を受けることができます。
患者様の声
当院で治療を受けた患者様のお声をご紹介します。
定期検診で通われている方の口コミ1
症状がないと行くこともなかった歯医者さん。
定期検診なんてしたこともなく、ここに通って初めて定期検診の話がでても正直「別にしなくてもいいけどなぁ。」なんて思いながら予約をしましたが、毎回歯科衛生士さんが、画面を見せながら褒めてくれるのが嬉しくて、ますます気にしながら歯磨きをするようになりました!
磨き残しがなかったり、血が出るパーセンテージが少なかったりしたらヨッシャ!と、心の中でガッツポーズをしてます(笑)気になることも定期検診の時に気軽に聞けるし、フレンドリーなので皆さんが高評価をつけることも頷けます。
定期検診で通われている方の口コミ2
3ヶ月ごとの歯石除去の定期検診を受けています。サボりがちな私ですが、毎回丁寧に優しく、苦手な箇所の磨き方ポイントや色んなアドバイスを頂いてありがたく思っています。次回こそは褒められたいというモチベーションも上げてもらっています
まとめ
歯周病は自覚症状が乏しいため、気付かないうちに重症化することが多い病気です。
しかし、進行すれば、歯茎だけでなく、歯を支えている骨が溶かされて歯がぐらつくようになります。歯が不安定な状態になると食べ物が噛めなくなり、最悪の場合には、自然に抜け落ちる可能性もありますので注意が必要です。
なお、歯が揺れる原因には、歯周病のほかにもあります。いずれにしても健康な状態で気になるほど揺れることはないため、早めに対処することが望ましいでしょう。
歯茎から血が出たり歯がグラグラしたりするようになったという方は、できるだけお早めに歯科医院へご相談ください。
歯周病の症状にお悩みの方は、兵庫県宝塚市にある医療法人社団 宝塚ライフ歯科・矯正歯科にご相談ください。
当院は、0歳から100歳まで家族みんなで安心して通える歯医者を目指して診療を行っています。小児矯正・小児歯科や成人矯正、虫歯・歯周病治療やマタニティ歯科など、さまざまな分野に力を入れています。
当院のホームページはこちら、WEB予約・LINEの予約相談なども受け付けておりますので、ぜひご覧ください。
奥村亮司