こんにちは。兵庫県宝塚市にある医療法人社団 宝塚ライフ歯科・矯正歯科です。

みなさんは「過蓋咬合(かがいこうごう)」という言葉をご存じでしょうか。過蓋咬合とは噛み合わせの状態の一つです。
今回は、過蓋咬合の説明から原因、治療法や予防法について、詳しく解説します。
目次
噛み合わせが深い「過蓋咬合」とは

噛み合わせが深い「過蓋咬合(かがいこうごう)」は、見た目だけでなく顎や歯ぐき、全身の健康にも影響しうる噛み合わせの異常です。まずは正常な噛み合わせとの違いから整理していきます。
過蓋咬合(ディープバイト)の基本的な状態
過蓋咬合とは、奥歯でしっかり噛んだときに、上の前歯が下の前歯を通常よりも深く覆い隠している噛み合わせのことです。下の前歯がほとんど見えない、あるいはまったく見えないほど上の前歯に隠れてしまう場合もあります。
歯科の専門用語では「ディープバイト」とも呼ばれ、代表的な不正咬合(ふせいこうごう:良くない噛み合わせ)の一つに分類されます。
正常な噛み合わせとの違い
正常な噛み合わせでは、奥歯で噛んだときに上の前歯が下の前歯をおよそ二〜三ミリ程度だけ覆うのが理想的とされています。この程度の重なりであれば、前歯で食べ物を噛み切る機能や見た目のバランスに問題はありません。
一方、過蓋咬合では、この重なりが過剰になっています。上の前歯が下の前歯や歯ぐきに強く当たりやすくなり、前歯や奥歯、顎関節に負担がかかりやすい状態です。
過蓋咬合が引き起こすリスクと症状

過蓋咬合は、軽いうちは自覚症状が少ないこともありますが、放置すると顎関節や歯、歯ぐき、発音や見た目にさまざまなトラブルを引き起こす可能性があります。ここでは主なリスクを分かりやすく整理します。
顎関節や筋肉への影響
過蓋咬合では、噛み合わせが深いことで顎の関節や筋肉に負担がかかりやすくなります。
顎関節症のリスク
噛むときに使われる顎関節や咀嚼筋に過度な力がかかると、顎関節症の一因となることがあります。顎関節症になると、口を開け閉めするときの痛みや、カクカクとした異音、口が開きにくいといった症状が出ることがあります。
筋肉のこわばりや頭痛
噛みしめる筋肉に負担が集中すると、筋肉のこわばりやだるさ、場合によっては頭痛や肩こりなど、全身の不調につながることもあります。
歯や歯ぐきへの影響
噛み合わせが深い状態は、歯そのものや歯ぐきにもダメージを与えやすくなります。
歯のすり減りと歯の破折
深く噛み込むことで奥歯に強い力が加わり、歯の表面が徐々にすり減っていきます。奥歯が低くなると、さらに前歯の噛み込みが深くなり、過蓋咬合が進行する悪循環に陥ることがあります。強い力が集中することで、歯にヒビが入ったり、欠けてしまうこともあります。
歯ぐきの傷と炎症
過蓋咬合が進むと、下の前歯の先端が上の前歯の裏側の歯ぐきに当たりやすくなります。歯ぐきが繰り返し傷つくことで、腫れや出血、慢性的な炎症を起こすことがあります。前歯だけでなく、奥歯の歯ぐきにも過剰な力がかかり、歯周病を悪化させる要因になることもあります。
噛む・飲み込む・話す機能への影響
噛み合わせは、食事や会話といった日常生活の基本的な動作にも関わっています。
咀嚼・嚥下機能の低下
過蓋咬合では、前歯で食べ物を噛み切る力が十分に発揮できないことがあります。その結果、食べ物を細かく噛み砕けずに飲み込んでしまい、胃腸に負担がかかることがあります。よく噛めないことで、食事の時間が長くなったり、食べにくさを感じる方もいます。
発音への影響と心理的ストレス
下顎の動きが制限されると、サ行やタ行などの発音がしにくくなる場合があります。発音しづらさが続くと、人前で話すことに抵抗を感じたり、コミュニケーションのストレスにつながることもあります。
お口全体のトラブルと見た目の問題
過蓋咬合は、お口の中の環境や見た目にも影響します。
虫歯・口臭などのお口のトラブル
歯がすり減って弱くなると、虫歯になりやすくなることがあります。
また、噛み合わせのバランスが崩れることで口が閉じにくくなり、口呼吸になりやすい方もいます。お口の中が乾燥すると、虫歯菌や歯周病菌が増えやすくなり、口臭の原因にもなります。
出っ歯やガミースマイルなど見た目の変化
下の前歯が長期間にわたり上の前歯を押し続けると、上の前歯が前方へ傾き、いわゆる出っ歯のような見た目になることがあります。
また、上の前歯が下の前歯を深く覆うことで、笑ったときに歯ぐきが見えやすくなり、ガミースマイルの原因となることもあります。これらの見た目の変化は、コンプレックスや自信の低下につながる場合があります。
詰め物・被せ物への影響
奥歯に強い力が集中したり、前歯同士が強く当たることで、詰め物や被せ物、差し歯が外れやすくなることがあります。せっかく治療した歯が長持ちしない原因になることもあるため、噛み合わせの改善は治療した歯を守るうえでも大切です。
過蓋咬合の主な原因

過蓋咬合には、生まれつきの骨格の影響から、生活習慣や乳歯のトラブルまで、いくつかの原因が関わっています。ご自身やお子さまの状態を知るためにも、代表的な原因を整理しておきましょう。
骨格の成長バランスによるもの
顎の骨の成長バランスが崩れると、上下の前歯の重なりが深くなりやすくなります。
上顎の過成長
上顎の骨が遺伝などの影響で過度に成長すると、上の前歯が前方や下方に位置しやすくなります。その結果、奥歯で噛んだときに上の前歯が下の前歯を大きく覆い、過蓋咬合の状態になります。上の前歯が下の前歯と適切に噛み合わず、上の前歯だけが伸びてしまうこともあります。
成長期に適切な矯正治療を行うことで、上顎の過成長をコントロールしやすくなります。
下顎の劣成長
反対に、下顎の成長が十分でない場合も、過蓋咬合の原因となります。下顎が小さい、あるいは後ろに引っ込んだ骨格の場合、上下の前歯の位置関係がずれ、上の前歯が下の前歯を深く覆う噛み合わせになりやすくなります。
下顎の成長が期待できる時期に矯正治療を始めることで、顎の成長を促し、噛み合わせの改善につなげられる場合があります。
歯ぎしり・食いしばりなどの習慣
大人の過蓋咬合では、歯ぎしりや食いしばりといった習慣が関わっていることも少なくありません。
奥歯のすり減りによる噛み合わせの低下
就寝中の歯ぎしりや、日中の無意識な食いしばりが続くと、奥歯の噛み合わせの面がすり減って低くなります。奥歯の高さが低くなると、全体の噛み合わせのバランスが崩れ、前歯同士が必要以上に深く噛み合うようになり、過蓋咬合が進行することがあります。
このような場合には、歯と歯の接触を和らげるマウスピース(ナイトガード)を用いて歯を守りながら、必要に応じて矯正治療を検討します。
乳歯の早期喪失やむし歯
子どもの過蓋咬合では、乳歯のトラブルがきっかけになることがあります。
乳歯の早期喪失
奥歯の乳歯(乳臼歯)を、むし歯や外傷などで本来の生え変わりの時期よりも早く失ってしまうと、奥歯の噛み合わせの位置が低くなることがあります。奥歯の高さが不足すると、前歯の噛み込みが深くなり、過蓋咬合を引き起こす原因となります。
乳歯だからといって放置せず、むし歯の予防や早期治療を行うことが、将来の噛み合わせを守るうえでも大切です。
生活習慣や癖の影響
競合記事でも触れられているように、日常の癖や呼吸の仕方なども噛み合わせに影響を与えることがあります。
指しゃぶりや唇・舌の癖
指しゃぶりが長く続いたり、下唇を噛む癖、舌で前歯を押す癖があると、前歯の傾き方や位置が変わり、噛み合わせが深くなることがあります。特に成長期のお子さまでは、こうした癖が骨格や歯並びに影響しやすいため、早めの対応が重要です。
口呼吸や柔らかい食事
口で呼吸する習慣があると、舌の位置が下がり、顎の成長バランスが崩れることがあります。また、柔らかい食べ物ばかりを好んで噛む力をあまり使わない生活が続くと、顎の発達が不十分になり、噛み合わせが深くなりやすいとされています。
過蓋咬合の治療法

過蓋咬合の治療は、年齢や原因、噛み合わせの程度によって選択肢が変わります。ここでは、大人の方に多い矯正治療を中心に、代表的な方法を解説します。
大人の過蓋咬合に用いられる矯正治療
大人の過蓋咬合では、すでに顎の成長がほぼ完了しているため、主に歯の位置や傾きを整える矯正治療が中心となります。
ワイヤー矯正(表側・裏側)
過蓋咬合では、奥歯の高さが低くなっているケースも多く、奥歯を適切な位置まで引き出したり、前歯の角度を細かく調整する必要があります。このような立体的な歯の移動には、ワイヤー矯正が用いられることが多いです。
ワイヤー矯正では、ブラケットと呼ばれる小さな装置を歯の表面に装着し、そこにワイヤーを通して歯を少しずつ動かしていきます。
「目立つのでは」と心配される方もいらっしゃいますが、当院では白いブラケットやホワイトワイヤーなど、目立ちにくい素材を用いた表側矯正にも対応しています。
また、過蓋咬合の状態やご希望によっては、ワイヤーを歯の裏側に装着する舌側矯正(裏側矯正)を選択できる場合もあります。表側から装置が見えにくいため、見た目を重視される方に選ばれていますが、装置の違和感や発音への影響などもあるため、事前の相談が大切です。
マウスピース矯正(インビザライン)
過蓋咬合のタイプによっては、透明なマウスピースを用いるインビザラインによる治療も可能です。薄く透明なマウスピースを一日二十〜二十二時間程度装着し、数週間ごとに新しいマウスピースに交換しながら、歯を少しずつ動かしていきます。
インビザラインは、装置が目立ちにくく、取り外して食事や歯みがきができるため、日常生活への負担が少ない点が大きなメリットです。金属アレルギーが心配な方にも選ばれています。
一方で、過蓋咬合の状態によってはインビザライン単独では対応が難しい場合もあります。また、装着時間が短いと十分な効果が得られにくいため、ご自身でしっかりと装着時間を守っていただくことが重要です。
子どもの過蓋咬合の治療の考え方
子どもの場合は、顎の骨が成長途中であることを活かし、成長を利用した治療を行えることが大きな特徴です。
成長期の顎の成長を利用した治療
上顎の過成長や下顎の劣成長が疑われる場合、成長期に顎の成長方向をコントロールする装置を用いることで、将来の過蓋咬合の悪化を防いだり、改善を図ることができます。乳歯と永久歯が混在する時期から治療を始めることで、抜歯を避けられる可能性が高まることもあります。
子どものマウスピース矯正
最近では、子ども向けのマウスピース型矯正装置も普及してきました。お子さまの年齢や歯の生え変わりの状況、過蓋咬合の程度によって適応が異なりますが、目立ちにくく取り外しができるため、学校生活への影響を抑えたいご家庭から選ばれています。
当院でも、お子さまの状態に合わせて、ワイヤー矯正とマウスピース矯正のどちらが適しているかを一緒に検討していきます。
過蓋咬合の治療期間と費用の目安

過蓋咬合の矯正治療は、ある程度の期間と費用が必要になります。ここでは、一般的な目安についてご説明します。
治療期間の目安
過蓋咬合の治療期間は、噛み合わせの程度や年齢、用いる装置の種類によって変わりますが、おおよそ1年から3年程度かかることが多いです。歯を安全に動かすためには、急激な移動は避け、少しずつ時間をかけて調整していく必要があります。
また、矯正装置の調整やお口の状態の確認のために、1〜2か月に一度の通院が必要です。治療完了後も、歯並びや噛み合わせを安定させるための保定期間が続きます。
費用の目安と支払い方法
過蓋咬合の矯正治療は、一般的に自由診療となるため、健康保険の適用外となるケースが多くなります。装置の種類や治療の難易度によって異なりますが、全体矯正の費用はおおよそ40万円から80万円程度が目安です。
費用面が心配で矯正治療に踏み出せない方もいらっしゃいますが、当院を含め、多くの歯科医院ではクレジットカードによる分割払いや、医療ローンを利用した分割払いに対応している場合があります。
無理のない範囲で治療を進められるよう、ご希望に合わせてお支払い方法のご相談も承っています。
過蓋咬合にならないための予防とセルフケア

過蓋咬合そのものを自分だけで治すことは難しいですが、悪化を防いだり、将来のリスクを減らしたりするために、ご自宅でできることもあります。日常生活の中で意識してほしいポイントをご紹介します。
歯と歯を離す習慣をつける
上下の歯が常に強く当たっている状態が続くと、奥歯がすり減り、噛み合わせが深くなりやすくなります。本来、リラックスしているときは、上下の歯はわずかに離れているのが自然な状態です。
日中、ふとしたときに「今、歯と歯が当たっていないか」を意識してみてください。気づいたときに軽く唇を閉じたまま、上下の歯を離すように心がけることで、奥歯への負担を減らすことができます。
顎まわりの筋肉をやさしくマッサージする
食いしばりや噛みしめが続くと、顎まわりの筋肉がこわばり、さらに噛みしめやすくなるという悪循環が起こりやすくなります。筋肉の緊張をやわらげるために、簡単なマッサージを取り入れてみましょう。
奥歯を軽く噛んだときに、耳の下あたりにポコッと動く筋肉が触れると思います。この部分を目安に、指の腹でやさしく円を描くようにマッサージします。強く押しすぎず、「少し痛気持ちいい」と感じる程度の力で、一日数分続けることがポイントです。
こうしたセルフケアに加えて、歯ぎしりや食いしばりが気になる方は、歯科医院でマウスピース(ナイトガード)の作製を相談されると、歯や顎を守る助けになります。
患者様の声

マウスピース矯正治療を受けた方の口コミ
矯正でお世話になっております。他の歯医者さんでは、ワイヤー矯正しかできないといわれましたが、ライフ歯科さんでは、大丈夫です!マウスピース矯正できますよ!と心強いお言葉をいただき、ライフ歯科さんで矯正をすることに決めました。ちょっとした疑問や不安にも丁寧に対応してくださり、安心できる矯正歯科さんです。受付の方やスタッフの方も感じのいい方が多く、オススメできる歯医者さんです。
小児矯正治療を受けた方の口コミ
子供のインビザライン矯正と検診でお世話になっています。明るく居心地の良い歯医者さんで、先生や衛生士の方々が治療内容や状態をわかりやすく説明してくださるので、安心して通院できています。矯正は、マウスピースでの治療で目立ちにくく、周りの目を気にすることなく、理想通りの歯並びにしていただくことができました。今も経過を丁寧に診てくださっています。これからも、長くお世話になりたい歯医者さんです。
まとめ

過蓋咬合は、軽いうちは自覚しにくいものの、顎関節や歯、歯ぐき、見た目などにさまざまな影響を及ぼす可能性があります。原因には骨格や歯の位置、生活習慣などが関わっており、状態に応じてワイヤー矯正やマウスピース矯正(インビザライン)などの治療法を選択していきます。
噛み合わせは、早めに相談することで選べる治療の幅が広がることが多いです。「自分や子どもの噛み合わせが深い気がする」「過蓋咬合かどうか一度診てほしい」と感じたら、お一人で悩まずに歯科医院にご相談ください。
兵庫県宝塚市の医療法人社団 宝塚ライフ歯科・矯正歯科では、子どもから大人まで、過蓋咬合を含む噛み合わせや歯並びのお悩みに幅広く対応しています。ワイヤー矯正とマウスピース矯正の両方を扱い、患者様一人ひとりのライフスタイルやご希望に合わせた治療計画をご提案いたします。
過蓋咬合でお悩みの方は、兵庫県宝塚市にある医療法人社団 宝塚ライフ歯科・矯正歯科にご相談ください。
当院は、0歳から100歳まで家族みんなで安心して通える歯医者を目指して診療を行っています。小児矯正・小児歯科や成人矯正、虫歯・歯周病治療やマタニティ歯科など、さまざまな分野に力を入れています。
当院のホームページはこちら、WEB予約・LINEの予約相談なども受け付けておりますので、ぜひご覧ください。
奥村亮司












